こちらからは以上です。

得意科目はアニメと音楽です。

Here Comes a New Challenger

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暇を持て余していたあの夏の日々。確かあの時の僕の年齢は18くらい。まだまだクソガキすぎた大学生だった。

友人もそれほどいないし、大学でも何となく日常を過ごしていた僕だけど。ゲームセンターで遊んでいる時は生きた感じがした。格闘ゲームをプレイしている時が何より楽しかった。

 

 

それは一人でゲームセンターで遊んでいたからではなくあのOLがいたからなのかもしれない。

 

 

 

 

退屈

ザ・キング・オブ・ファイターズ XIII - PS3

当時僕が通っていたゲームセンターはあまり盛り上がっていなかったように思える。というよりかは格闘ゲームコーナーの客の入りが少なかった。KOF98やハイパースト2Xなどの昔のゲームが10円でプレイできたりとお店側も策を練らしいたがそれでも中々客足が伸びなかった。だから僕がゲームをする時は対人戦をすることがほとんどなく基本的にはCOM戦ばかりだった。

どんなゲームをやっていたのか?それはもちろんKOF13だ。ストリートファイター4やギルティギアも飽きてきた僕はKOF13に行き着いたのだ。我ながらあの時は狂ったようにプレイしていた。飽きもせずにね。

 

 

 

毎日学校が終わると週三くらいでゲームセンターへ通っていつもの投入口に百円玉を入れる。これが僕のスタイルだ。

それでも乱入されることは滅多になくいつもいつもCOM戦。乱入されても初めてプレイをする初心者のような者、適当にあしらって勝ちを収める。COM戦にコンボ練習はしていたけどやはり退屈は避けられない。競う合う人がいないから暇だった。

 

 

そんな生産性のない日々を送っていた時に貴女は現れた。

投入口に百円玉を入れて相も変わらずあくびをしながらKOF13を楽しむ。今日も骨のある乱入者はいないかと思っていたら「Here Comes a New Challenger」の文字が画面に浮かび上がる。また初心者かな?それとも熟練者か?どちらにせよリングに上がったらやりあうだけだ。

 

 

対戦の結果は僕の勝利だった。とはいえ向こうはある程度はこのゲームをプレイしてきているようで良い立ち周りをしていた。勝利に浮かれていたらまたもや「Here Comes a New Challenger」の文字。2回、3回、4回、5回。。。ぼくはひたすらに乱入されるがそれでも勝ちは譲らない。連勝だった。

6回ほど勝っていくとようやく相手が観念した。相手の顔を見ておきたい。そう思った僕はこっそりと覗いてみる、そこには僕よりも一回り年上の綺麗なオフィスカジュアルな服装を包んだ女性がいた。

 

 

 

 

 

 

女性との日々

次の日もゲームセンターへ行ったらまたあの女性が乱入してきた。こないだと同じキャラクターと同じ戦法を使ってきた。だから今度は顔を見なくても分かる。それは多分向こうも同じだろう。

僕に負けてよほど悔しかったのだろうか。かなりムキになって攻めてきた。けどそういう人ほどこっちも熱くなるというものだ。今回も楽勝か。。。と思えばそうでもなかった。危ない場面が何度かあった。

 

その翌日。また挑まれる。その翌週、翌々週も。

だが何度も何度も対戦を重ねることで実力は僕に近づいていき、超接戦を繰り広げ女性は僕から勝利をもぎ取ったのだ。

退屈な僕の心はその時点で変わっていきもうゲームのことしか考えていないくらい夢中になっていた。僕が負けるともう一度負かしてやり、女性が負けると僕は負かされ。もはやライバルに近い存在だった。

その日々は三か月ほど続き、対戦している時は自分が自分でいれるような気がした。それだけ対戦していても僕たちは一度も会話を交わすことはなかった。ひとえに自分が超人見知りなのが原因だ。この日々がもっと続けばいいと思っていた矢先に女性は僕の前がいなくなってしまった。

 

 

 

夏も終わり衣替えの季節が来ようとしていた。僕たちは未だに格闘ゲームに夢中になっていて勝ち越ししたり負け越したりを繰り返していた。

その日もいつものように女性が乱入してくるがなんだかいつものようなキレのある動きがなかった。ガンガン攻めるのは貴女の専売特許だろ?しかもガードも全然できてないじゃないか?僕が戦いたいのはそんな貴女じゃない。どうしたことかと思い僕が勝利を収めてまた乱入してくるかな?と思ったら女性が僕の座っている席まできて。

 

「ありがとうございました」

 

と女性は僕に一言告げてどこかへ行ってしまった。人見知りで対人関係が苦手な僕は「えっと。。。あ、はい」なんて気が利いた言葉のひとつも言えないでいた。突然の言葉に僕は戸惑うばかり。なぜか女性は涙を流していた。その理由は分からない。その日を境に女性はゲームセンターから姿を消した。

 

 

 

それからというものの僕もゲームセンターへ通うことはなくなった。たまにあの人がいるんじゃないかと覗いてみるけどやっぱりいない。人の少ないゲームコーナーだけがそこにはあった。どこかでまた会えるんじゃないかと期待をしていた。

 

あの時なんで僕に声をかけてくれたのだろうか。あの時なんで言葉をかけてあげなかったのだろうか。僕はあの夏の日々が楽しかったがあなたにとってはどうだったのだろうか?その答えを持っている人はもういない。あの日のことを後悔することもある。今の僕の年齢はあの時の貴女の年齢に近づいてきているのかな。正しい年齢すらも分からない。願うことならもう一度会って二人でもう一度対戦をしたい。いつでも乱入してきてください。

 

 

ザ・キング・オブ・ファイターズ XIII - PS3

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