こちらからは以上です。

得意科目はアニメと音楽です。

【朝のひとくち】見た目が全てじゃないって話

これは僕が大学一年生の頃の話だ。

入学式が終わって最初の友達作りをするのを忘れてぼっちになった私はしばらくは真面目に勉強に励んでいた。友達がいないからこそ勉強くらいしかやることがなかったのがまずひとつの要因だ。

普通の学生ならきっと授業が終わったあとにでも居酒屋でとりとめのない会話をしたりOLの退勤時間の池袋・新宿を狙ってナンパでもするのが当たり前なのだろうが私はぼっちだったので何もしていなかった。強いて言うなら皐月賞の予想オッズくらいしか考えていなさそうな老人がひしめき合っている図書館で僕も暇を潰すように本を読んでいた。

なぜなら僕は友達作りをするのを忘れてぼっちだったからである。昔から一人には馴れていたため特に大きな問題はなかった。

 

 

 

 

ちょうど春の季節も終わりを迎えようとしていたとき、僕はいつも通り一番前の席に座って授業を受けていた。今ではこの行動を「意識高い系」と分類されるらしい。

穏やかに授業を受けて今日も特に何もイベントは起きないだろうと踏んでいた授業開始前。

「あの~…」

声が聞こえた気がした。確証はないがきっと僕を呼んだのではないはずだ。

「あの~…」

二回目。ぼっちの僕に知り合いはいないから僕を呼んだのではないはずだ。

「あの~…ちょっといいですか?」

三回目。もしかして自分が呼ばれてるのではという疑問が初めて生まれて今一度後ろを振り返った。

「はい」

僕は極めて事務的で短絡的な返事をした。振り返るとそこには。

「先週の授業を熱で休んでしまって。。。もしよかったら、、、もしノートを取っていたらなんですけどあとで見せてもらうことは可能でしょうか?」

 

 

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どこをどう見てもラッパーにしか見えない男がいた。一言で言えば「チャラそう」

僕とは全く違う世界観を築いているように見えた。

 

 

「いいですよ」

二つ返事で僕はノートを見せることにする。男の服装はストリートファッションなどという着飾ったものではなく全体的にダボダボな服にキャップを被りピアスをしていた。

そういえばいつも僕の後ろに座っていた人がこんな服装をしていたような記憶がある。

 

 

 

そのあとの授業の終わり、ノートの件は「今日あった人にいきなりノートを借りるのは失礼」といった類の発言をして印刷機を使ってコピーすることにした。もちろん印刷代が男の負担。

そこでふと雑談が始まったのだが。

「ゲームって好きだったりします?」

その一言からはじまり僕はニトロプラスのゲーム「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」や「鬼哭街」にハマりましたと正直に答えた。

「おおー、虚淵作品が好きなんですか?」

男は嬉しそうな表情だった。この発言により彼はガチであることが分かった。

 

 

それからというものの彼とは授業で会う度に「今期アニメは何がいいか」とかいわゆるオタクらしいトークを展開してきた。彼は四年生でたまにスーツを着て就職活動に勤しんでいるようだった。

彼は授業態度も真面目だし積極的に教授に質問をしているし何より僕に対してとても紳士的でそちらの方が年齢が上にも関わらず気を使ってくれるのを見ていると「イケメンだなあ」という感想をいつも抱いていた。そのうえでガチなオタクということもあってか僕は完全に見た目に騙されていたのだ。

 

授業以外にも喫煙所やバス停でも見かけたりしたが彼がよく一緒にいるグループの面々はやはり見た目がチャラそうであった。オタクの知り合いは僕しかいないのか?それとも一緒にいるグループもやはりオタクなのか。結局最後まで分からなかった。

 

 

彼とは色々と会話をしていたが連絡先は交換していなかった。だからその授業以外の彼をよく分からなかったし夏休みが訪れると同時に全く見かけなくなった。僕が忙しくなったこともあるがこれぽっちも見かけなくなったのだ。四年生の秋は特に授業を取っていないのだろうか?それすらも全く分からない謎に包まれたままあのイケメンはどこかへ旅立った。僕と彼とはプライベートに関わる深い会話をしていないこともあってかそれがある意味良い距離感を保っていたのかもしれない。

 

 

彼に出会った良かったと思うことは「見た目に」関して思い直すことがあったということだ。

チャラいからオタクを毛嫌いしているわけではない。オタクもチャラいから毛嫌いしているわけじゃない。

人の本質は話をしてみないと分からないのが事実だ。それに気づいたのは小さな一歩であった。

2カ月くらいのわずかな期間であったがこれからも忘れはしないだろう。

今何をしているのかは少し気になるところではある。